結論(要点)

根拠: 公文教育研究会の公式サイトの説明、本記事の各章、参考文献 [1]。

図形が「出てこない」理由

公文教育研究会の公式サイトでは、算数・数学教材の特徴として「計算力」に絞っていることを挙げています(公文式算数・数学の教材)。目指しているのは、速く正確に解ける計算力を身につけ、高校数学を自学自習で進められるようにすることです。

計算に絞っている理由として公式サイトが挙げているのは、中学・高校の数学では多くの問題で代数計算が必要になることです。文章題や図形については、計算力に加えて、問題文から内容を読み取ってイメージする国語力が必要になる、という説明があります(算数・数学教材に文章題や図形はないのですか?)。

教材の進め方も、公式サイトに説明があります。やさしい問題から細かな段階で並んだ教材を、一人ひとりの学力に合わせて、学年を越えて先へ進めていく形です(公文式の特長)。

計算の進み具合と、図形の練習は分けて考える

ここからは TENZU の考えです。公文の算数・数学教材は計算に絞られているので、図形の練習は、主に学校の授業や別の教材で行うことになります。

公文の教材がどこまで進んでいるかは、計算の力を知る手がかりになります。ただ、計算の進度だけでは、図形の理解度までは分かりません。図形については、学校で習っている単元や、子どもが図形の問題に取り組む様子を見て確かめます。

図形の練習にはいろいろな方法があります。TENZU が扱う点描写では、見本の線の向きや位置を見て、点と点を結んで同じ形を写します。どの点から線を引き始めて、どの点で止めるかを見本と見比べながら進めるので、計算のプリントとは練習する内容が違います。

机の左右に計算のプリントと点の盤面や積み木を分けて並べ、二つの学びに向き合う子ども
FIG. 01計算のプリントと点描写の盤面では、練習する内容が違います。

学校算数との時間差

もうひとつ、「計算は進んでいるのに、図形は?」と感じやすい理由があります。学校と公文での進み方の違いです。

学校の算数では、図形の単元は学年ごとに少しずつ出てきます。かたちの学習から始まり、学年が上がると角や面積、立体へと進みます。一方、公文の教材は学年を越えて先へ進められるので、計算が学校より先の段階まで進むと、図形は学校で習う範囲のまま、という差が目につきやすくなります。

家庭で補いたい場合は、まず学校で習っている内容や、子どもが難しく感じる問題を確認します。

図形の学習状況を確かめる

小学生なら、教科書やプリント、テストで、いま習っている図形の単元を確かめます。まちがえた問題や時間がかかった問題があれば、どんな形を扱う問題だったかを見ておきます。入学前の子どもなら、見本の形を写すような簡単な図形の問題を 1 問だけ一緒に解いて、どこを見ているか、どこで手が止まるかを見ます。

家庭で図形の練習を追加する場合は、子どもの負担を見ながら教材を選びます。公文は続けたまま、1 回に取り組む量が少ない教材から試すと、様子を見ながら量を調整できます。

公文と点描写の役割の違い

公文の算数と点描写の違いを、表にまとめます。

公文(算数)点描写
練習する内容代数計算(速く正確に解く)見本の線の向き・位置を見て、点と点を結んで写す
教材の進み方やさしい問題から細かな段階で並び、学年を越えて先の教材へ進める3×3 のまっすぐな線から始まり、ななめの線、4×4 の交差する線へと、点の数や線の本数・向きが変わる
取り組む時間教室での学習と宿題家庭で 1 回に 1 問から

ここでは、家庭で図形の練習を足す方法のひとつとして点描写を取り上げます。点描写を追加すると、そのぶん学習時間は増えます。無理のない量から試してください。

点描写というカテゴリ自体が初めての方は、点図形(点描写)とはで全体像をつかめます。

家庭で足す教材を選ぶときの目安

家庭で図形の練習を足す方法は、いくつかあります。市販の図形ドリルを 1 冊選ぶ、無料のプリントで試す、点描写のような専門のプリントを使う、などです。

公文と並行して使う場合は、次の 3 点を確かめると選びやすくなります。

TENZU の点描写プリントは、難易度をレベルと巻に分けていて、¥200 の 1 巻から試せます。1 問にかかる時間は子どもによって違うので、最初は 1 問だけ取り組んで、かかった時間を見てから量を決めてください。教材を比べて選びたい方は、点描写プリントの選び方と使い分けに全体像があります。

点つなぎと点描写の違い

点つなぎは、数字の順に点を結んで絵を完成させる遊びです。楽しんで取り組んでいる時期は、そのまま続けて大丈夫です。楽しさや、線を引く練習としての役割があり、ほかの教材に切り替えるものではありません。点描写と並行してかまいません。

点つなぎでは番号を追い、点描写では見本を見て結ぶ点を選びます。点つなぎで線を引くことに慣れている子でも、結ぶ点を自分で選ぶところで迷うことがあります。はじめは、3×3 の盤面にまっすぐの線が 2〜3 本の簡単な 1 問を試し、どこで迷うかを見てください。

始める時期は、年齢よりも、その 1 問に取り組んだときの様子で決めます。見本どおりに写せたら、同じレベルの問題を少しずつ増やします。迷う様子が続くときは、点つなぎや線を引く遊びを続けながら、日をあけてもう一度試してください。

点をつないだ船の絵の隣で、子どもが3×3の点の盤面へ短い直線の見本を写している手元
FIG. 02番号を追う点つなぎと、見本を見て結ぶ点を選ぶ点描写。最初は短い直線の問題から試せます。

公文と並行するときの時間と量

宿題の直後に嫌がる場合は、朝や入浴前など別の時間に試してください。1 回に 1 問でも、平日に続ければ 1 か月で 20 問ほどになります。

公文の宿題が多い時期や、負担が心配なときは、公文を優先して、図形は週 2〜3 問から始めても大丈夫です。問題の量は、子どもが嫌がらずに取り組めているかを見ながら増やしたり減らしたりします。

買う前に反応を見たい場合は、ブラウザで動く模写メーカー(無料)で 1 枚自作して印刷できます。作るのは画面、練習は紙。手応えがありそうなら、レベル選びガイドではじめる位置のめやすを確かめて、¥200 の 1 巻から始めてください。

宿題のファイルとは離れた食卓で、子どもがタイマーのそばに一枚だけ広げた点描写へ取り組む様子
FIG. 03宿題の直後に嫌がるときは、別の時間に 1 問だけ試す方法もあります。

受験の予定と関係なく、低学年のうちに試せること

「図形を足すのは、受験を考え始めてからでいいのでは」と思うかもしれません。点描写で練習するのは、見本と同じ位置に、同じ向きの線を引くことです。受験の予定があるかどうかに関係なく、低学年のうちから取り組めます。

小学校に入ると、ひらがなや数字を書く、黒板の字をノートに写すなど、見本を見て書く場面が増えます。算数でも、学年が上がると、ものさしで直線を引いたり、三角形や四角形をかいたりする学習があります。点描写は、見本の線の位置や向きを見て同じように写す作業を、1 問ずつ練習できる教材です。

小学校の期間に視覚空間の記憶が伸びることが、その後の算数の伸びと関係していた、という縦断研究の報告があります[1]。なお、点描写の練習でその伸びが得られるかは、この研究では調べられていません。

TENZU の教材は難易度別に分かれています。受験の有無ではなく、子どもが取り組める問題を目安に選んでください。すでに図形の苦手が気になり始めている場合は、点描写ができない・図形が苦手な子へから読むと、はじめる位置を決めやすくなります。

図形の練習を始める時期に決まりはありません。いま取り組める問題から試してください。

参考文献

  1. Developmental Gains in Visuospatial Memory Predict Gains in Mathematics Achievement.(PMC3729464)