きっかけは、答えの出なかった問いでした

私には二人の娘がいます。上は小学 6 年生、下は 3 年生。この店の主なお客さまのお子さんより、だいぶ先輩です。

娘たちが保育園のころ、共働きで在宅中心だった私は、送り迎えも休日の相手も、たいてい自分の役目でした。暑い日や雨の日は家で過ごすしかなく、よく机に出していたのが、保育園仕込みの「点つなぎ」と「塗り絵」。二人とも楽しんでいましたし、机に向かういい習慣にもなっていました。ただ、隣で見ていた私には、答えの出ない問いがひとつありました。これは楽しい時間つぶしで終わっていないか。同じ机の時間で、もっと力になる遊びはないのか。

その問いは、答えが見つからないまま、娘たちの成長と一緒に流れていきました。

思い出したのは、ずっとあとのことです。中学受験をすることになった長女が、図形の問題で苦しんでいるのを見たときでした。もう大きくなって塾にも通っているので、父のアドバイスなんて聞いてはくれません(苦笑)。

そんなとき、小学校受験に取り組んでいるパパ友との会話で、「点描写」の存在を知りました。点をたよりに見本を描き写す、地味な練習。見て、考えて、手を動かす力を育てる。「あの頃、これをやらせて図形力を磨いていれば、こんなに苦労しなかったのかな~」と思いました。

ただ、調べてみると、点描写はやはりマイナーな存在でした。無料プリントは少なく、レベルもばらばら。有償の教材もありますが、買う前に中身がほとんど見えません。これがいまの娘に合うレベルなのか、値段に見合う量と質なのか、親の側から確かめようがない。あのころの私が偶然これを知ったとして、うちの子に合う一枚まで、たどり着けたかどうか。

だから TENZU は、あのころの私のような親のための店です。幸い、いまは AI の力を借りて、ひとりでも店を開ける時代です。娘たちのときには間に合わなかったぶん、いま年長や小 1 のお子さんと机に向かっているご家庭に、迷わず選べる形で届けたい。それが、この店の始まりです。

メーカーが生まれた、ちょっとした裏話

このサイトには、点描写の問題を自分で作れる「メーカー」という道具があります。最初は、AI に問題を作らせようとしていました。でも、出てくるのはバラバラの線ばかりで、子どもが描いてみたいと思えるような図形には、なかなかなりませんでした。

結局、問題は一つひとつ自分で作ることにして、そのための道具を自分用にこしらえました。それがメーカーの原型です。使ってみて「これは、同じように欲しい人がいるかもしれない」と思い、みなさんにも使えるように整えました。いま並んでいる問題は、すべてこの道具で、人の目と手を通して作ったものです。

じつは「紙のものを作って、読んでもらう」ことには、少しだけ経験があります。娘たちの小学校で、PTA の広報委員を 2 年。原稿を集めて、載せる写真に悩んで、刷り上がった広報誌を保護者や子どもたちが手に取ってくれる。大変でしたが、あの楽しさはよく覚えています。この店の一枚一枚も、同じ気持ちで作っています。

この店の約束

この先、お店として大きくなっても、次の 4 つだけは変えないつもりです。

いまの教材は、いつのまにか月額のものばかりになりました。でも私は、使わなかった月にもお金が出ていく感じが、どうも好きになれません。だからうちは買い切りだけです。買った一枚は、そのままご家庭のものです。

小さな売り場のまま、必要な家庭に必要な一枚が届けばいい。それが今の、私の一番の願いです。

点描写が、漢字ドリルや計算ドリルと並ぶ、家庭の当たり前の一枚になってくれたら。お子さんの今に合う一枚はレベル選びガイドから。よかったら、裏話に出てきたメーカーも触ってみてください。

顔写真の代わりに、娘たちの絵を 2 枚。右が長女の似顔絵、左が次女がキャラクターにした「パパりんくん」です。実物もだいたいこんな感じのぼーっとした、眼鏡のおじさんです(笑)

壁にマスキングテープで貼られた、子どもが鉛筆と色鉛筆で描いた2枚の絵。左はうさぎ耳と眼鏡のキャラクター「パパりんくん」、右はチェックシャツに眼鏡の店主の似顔絵と「パパへ 誕生日おめでとう!」のメッセージ
FIG. 01左:次女作「パパりんくん」/右:長女が誕生日に描いてくれた似顔絵。

— TENZU 店主