「点描写 教え方」で調べた方に、最初にお伝えしたいことがあります。点図形(点描写)に、解き方の説明は要りません。見て、写す。それが全部です。そしてもうひとつ。付きっきりで隣に座る必要も、ありません。渡して、終わったら見る。親の出番は、つまずきが目に見える場面で、たいてい 2 つに絞られます。この記事は、その 2 場面の対処です。

結論(要点)

根拠: 本記事の各章(対処の設計は TENZU の商品設計の一部)。

付きっきりで教えなくていい

点描写は、解き方の説明が要らない教材です。見本を見て、同じ位置に線を引く。やることはそれだけなので、「ちゃんと教えられるだろうか」という心配は最初から手放してかまいません。

では親は何をするのか。始まりに 1 枚を机に出す。終わったら見せてもらう。関与としては、それで十分に成立します。家事をしながらでも、仕事から帰ったあとの 5 分でも回る形です。

むしろ、横から説明が始まると子どもの手は止まります。見本とにらめっこして、点を探して、線を引く。この「考えながら書く」時間は、口を出されないことで初めて成立するからです。付きっきりでないことは手抜きにはならず、この教材に合った距離です。

初めて渡す日だけは、見本と描く欄を指して「同じ形を描いてみようか」と伝えれば十分です。親が 1 問を先に解いて見せたり、どの点から引くかを説明したりする必要はありません。迷って手が止まったら、その場で答えを足さずにいったん閉じる。次に渡す難しさを整えるほうが、この練習では助けになります。

教えなくていい。
つまずいたときだけ、出番。

— TENZU · 親の出番

明るい食卓で、子どもが点描写のプリントに一人で取り組み、少し離れた場所で親が見守る様子
FIG. 011 枚を渡して、少し離れる。点描写は、その距離で取り組めます。

つまずきに気づくのは、たいてい 2 つの場面

隣でずっと見ていなくても、つまずきはちゃんと目に見える形で現れます。ほとんどは、この 2 つのどちらかです。

順に、対処を書きます。

場面 1 — できずに泣いたとき

まず、その場ですることから。その日の分は、そこで閉じて大丈夫です。 途中の 1 枚は失敗ではありません。泣いている子に「最後までやろう」と続けさせたり、泣きやんだところで解き方の説明を始めたりすると、プリントそのものが嫌な記憶とセットになっていきます。この練習で残したいのは「最後までやった」ではなく、「またやりたい」のほうです。

次に、泣いた理由の読み方です。点描写で子どもが泣くのは、性格や根気の問題である前に、いまの問題がその子の段階より難しいというサインであることがほとんどです。だから対処は、次に渡す 1 枚を、一段やさしい巻に替えることです。励まし方の工夫は要りません。すらすら描ける位置まで戻れば、泣く理由そのものがなくなります。

戻ることを、ためらわないでください。TENZU が 1 巻 ¥200 の一律にしてあるのは、レベルを下げる判断に罰がないようにするためです。戻る位置のめやすはレベル選びガイドで確かめられます。それでも泣く日が続くようなら、段階そのものの見直しどきかもしれません。整え方は点描写ができない・図形が苦手な子へにまとめています。

場面 2 — ○つけで間違いに気づいたとき

「○つけして」と渡されて、見ると線がずれている。ここでの対処は、順番がすべてです。

第一声を「ここまで合ってるね」に決めておいてください。 大人の目に、ずれは飛び込んでくるものです。見えてしまうのは仕方がない。だから、意志の力には頼らず、最初のひとことを先に固定しておきます。それだけで、○つけがダメ出しの時間になることを防げます。

そのうえで、ずれを全部指摘する必要はありません。 ○つけは採点ではなく、いまどのあたりで手が迷うのかを知る観察の機会です。全部直させて 100 点の 1 枚を作るより、「どこで迷ったか」がわかるほうが、次の 1 枚選びに効きます。

直しも、その場で消しゴムを持たせなくて大丈夫です。TENZU のプリントは何度でも印刷できるので、同じ 1 枚を、日をあけてもう一度。前回の 1 枚と並べると、線の迷いが減っていく様子がいちばんよく見えます。比べる相手は、他の子でもきょうだいでもなく「前回のその子」。くり返し印刷は、そのための道具です。

どちらの場面でも、いちばん効くのはレベル調整

2 つの場面に共通することを、ひとつだけ。泣くのも、間違いが続くのも、多くの場合は同じことを指しています。いまの問題が、その子の段階より少しだけ難しい。

だから、声のかけ方の工夫より先に効くのは、レベルの調整です。解き方を説明したくなったら、それは「説明が要る位置」まで難しくなっているサイン。一段やさしい巻に戻れば、親の仕事は「渡して、あとで見る」に戻れます。下げる判断にも、同じ巻をくり返す判断にも、罰がない価格にしてあります。

レベルのほかに、紙面も変えられる

もうひとつ、覚えておくと引き出しが増える調整があります。TENZU のプリントは、印刷のたびに紙面そのものを組み替えられます。用紙の大きさ(A4・B4・A3)、1 ページに載せる問題の数(1〜12 問)、そして見本と書きこむ枠の並び(左右か、上下か)。同じ巻のまま、何度でも変えられます。

だから、こんな工夫ができます。線が窮屈そうなら、1 ページ 1 問にして大きく刷ってみる。紙面が大きくなっただけで、手が動き出す子がいます。上下の並びで写すのが難しそうなら、左右の並びに変えてみる。見本と自分の紙面のあいだの視線の往復が変わるだけで、写しやすくなることがあります。

レベルを下げるほどではないけれど、あと少しが届かない。そんなときは、難しさより先に紙面を疑ってみてください。同じ問題のまま形を変えて再挑戦できるのは、印刷して使うプリントならではの調整です。

あわせて決めておくと楽な 2 つ

2 場面の対処のほかに、先に決めておくと親が楽になることが 2 つあります。

区切りは、時間より「1 問」。 「あと 5 分やろう」は、生活の焦りをそのまま子どもに移してしまいます。1 問なら数分で閉じられるので、夕食前でも寝る前でも衝突しません。

褒めるなら、結果より手順。 「じょうずに描けたね」より「引く前に、先に全体を見てたね」。手順を言葉にすると、次の 1 問でその手順を再現しやすくなります。大げさである必要はありません。○つけのついでの、ひとことで十分です。

公文・通信教材と併用しているとき

併用のご家庭で気をつけたいのは、声のモードです。積み上げ系の教材では「速く」「正確に」が励ましとして機能する場面があります。ただ、点描写の○つけにそのモードを持ち込むと、じっくり見る手順が崩れます。点描写は、速さも正解率も見ない時間として分けておいてください。

併用の設計そのものは公文の算数で図形が出てこない理由と、家庭での補い方にまとめています。

よくある質問

つい口を出して、答えを教えてしまいました。だめでしたか?

だめではありません。わが子の紙面を前にすれば、誰でも起きることです。○つけのたびに仕切り直せるので、次の 1 枚の第一声を「ここまで合ってるね」から始めれば十分です。1 回ごとの成否で考えなくて大丈夫です。

親自身が図形が苦手でも、大丈夫ですか?

大丈夫です。この練習に「教える」場面はないので、親の図形の得意・不得意は関係ありません。○つけも、見本と見比べるだけでできます。

子どもが「自分でやる」と言って、○つけも渡してくれません。

いちばん良い状態です。任せてください。1 枚を机に用意しておいて、気が向いたときに見せてもらえれば、関与としては十分成立しています。細かい場面の Q&A は家庭で育てる図形と空間認知 Q&Aにも増やしていきます。

次に読む

泣く日が続くときの段階の整え方は「点描写ができない・図形が苦手な子へ」、細かい場面の疑問は「家庭で育てる図形と空間認知 Q&A」へ。どちらも下の「次に読む」からどうぞ。この記事は、泣いた日と○つけの日に戻ってくる場所として残しておきます。