宿題の見取り図を前に、「どこから描けばいいの?」と手が止まる。そんなときは、立体全体を一度に描こうとせず、面と線を順番に足していきます。例では奥行きを右上へ描きますが、左上へ描く問題でも考え方は同じです。
結論(要点)
- 手順は 3 つ: ①正面の面を描く ②奥行きの線を同じ向き・同じ長さで引く ③奥を結んで閉じる
- 奥行きの線は、例では右上。左上へ描く問題でも、全部を同じ向きにそろえる
- かくれて見えない辺まで表すときは、実線ではなく点線にする
- ずれたときは全部を消さず、「正面・奥行き・奥の面」の順に見直す
根拠: 本記事「描き方の 3 ステップ」の手順解説。
見取り図とは — 立体のつながりを 1 枚に表す図
見取り図とは、立体の全体の形や、面・辺・頂点のつながりが分かるように、平面の紙へ表した図です。ななめ上から見た姿に似ていますが、絵のように陰影をつけるのではなく、決まった線で立体の構造を表します。教科書では「見取図」、一般には「見取り図」と表記されることがありますが、指しているものは同じです。
よく混同されるのが展開図です。展開図は、立体を辺に沿って切り開いたときの面の並びを表す図。見取り図は、組み立てた立体の全体像を 1 枚で表す図です。どちらも小4の直方体・立方体の学習で扱われます。学習内容は文部科学省の学習指導要領解説・算数編にも示されています。
見取り図が独特なのは、「立体をそのまま紙に描くことはできない」という前提から出発するところです。紙は平面なので、奥行きだけはルールで表現するしかありません。そのルールが、次の 3 ステップです。
描き方の 3 ステップ
立方体を例にします。鉛筆、消しゴム、定規を用意してください。はじめは白紙よりも、方眼紙や点の並んだ紙のほうが、線の向きと長さをそろえやすくなります。直方体も、正面を長方形に変えるだけで手順は同じです。
ステップ 1: 正面の面を、そのままの形で描く
最初に描くのは、正面に見える面だけです。立方体なら正方形を 1 つ、ゆがめずにそのまま描きます。
いちばん多いつまずきは、最初から立体全体を描こうとすることです。全体を一気に描こうとすると、どの線がどこへ向かうのか分からなくなります。まず正面の面だけを完成させる。ここで手を止めるのがコツです。
ステップ 2: 奥行きのななめ線を、同じ向き・同じ長さで引く
正面の面の、手前から見える 3 つのかどから、奥へ向かうななめの線を引きます。残るひとつ(左下)のかどの線は、ステップ 3 で点線として描き足すので、ここでは引きません。守ることは 2 つだけです。すべての線を同じ向きに引くこと。すべての線を同じ長さにすることです。
この図なら、「みぎうえに、おなじだけ」と声に出すと確かめやすくなります。点の並んだ用紙なら、「右へ 1、上へ 1」のように移動を数えると、向きも長さもそろいます。問題によって奥行きが左上へ向くこともあります。その場合は「ひだりうえに、おなじだけ」。右か左かより、全部の線を平行にそろえることが大切です。
ステップ 3: 奥のかどを結んで閉じる — 見えない辺は点線で
ななめ線の先端どうしを結ぶと、奥の面が現れて、立体の形が閉じます。
最後に、手前の面にかくれて見えない辺を点線で描き足します。見えないのに描くのは不思議に感じるかもしれませんが、「見えていない部分にも辺がある」と分かるようにするためです。ただし、問題に「見えない辺は描かない」といった指定があるときは、その指示に合わせます。
仕上げに、辺の数を数えて確かめます。立方体なら辺は 12 本。実線と点線を合わせて 12 本あれば、抜けも重複もありません。
ずれたときは、線ごとに見直す
形がずれたとき、最初から全部を描き直す必要はありません。どの線からずれたかを順に見ます。
| 見え方 | 確かめる場所 | 直し方 |
|---|---|---|
| 立体がつぶれて見える | 奥行きのななめ線 | 3 本が同じ向き・同じ長さかを見る |
| 奥の面がゆがむ | ななめ線の先端 | 上下・左右の先端どうしをまっすぐ結ぶ |
| 辺が足りない、または多い | かくれた辺 | 立方体なら実線と点線を合わせて 12 本か数える |
| かくれた部分が手前に見える | 線の種類 | 見えない辺だけを点線にする |
それでも難しいときは、正面の面だけを描いて手を止める、奥行きの線を 1 本だけ加える、というように工程を小さくします。平面の正方形や長方形を写すところで迷うなら、いったん平面の模写へ戻ってかまいません。
一段戻るのは、遠回りではなく、ずれた手順だけを確かめるためです。図形全般に苦手の気配があるなら点描写ができない・図形が苦手な子へを、小4算数の単元でつまずいているなら小4で算数の図形につまずいたらもあわせてどうぞ。視覚空間能力について研究で分かっている範囲は、視覚空間能力と算数・漢字にまとめています。
家庭で練習するなら — 点をたよりに、見える辺から
見取り図の練習は、白い紙にいきなり描くより、点の並んだ用紙で「写す」ところから始めるのが着実です。TENZU の立体模写プリントは、この記事の 3 ステップがそのまま練習になるように作っています。
- 最初は、見える辺だけでできた立体を写す(箱・L 字・階段など)
- 慣れたら、かくれた辺が少しだけある形へ(点線がすこし登場)
- 仕上げは、かくれた辺をすべて点線で写しきる形へ
点をたよりに「右へ 1、上へ 1」のように移動を数えると、どこをそろえるのかが見えやすくなります。あわせて、積み木やティッシュ箱のような実物を、見取り図と同じ角度から眺めてみてください。実物の一つの辺を指でたどり、紙のどの線に当たるかを探す。正解をすぐ教えるより、実物と図を行き来する時間が、線の意味を確かめる助けになります。

→ 立体模写のプリントは 模写(立体)の一覧 から。難しさの中身(かくれた辺の本数)も各巻のページで公開しています。
よくある質問
「見取り図の書き方」と「描き方」、どちらが正しいですか?
どちらの表記も使われていて、指しているものは同じです。この記事では図を「描く」の表記に寄せていますが、教科書やドリルで「書き方」とあっても、同じ手順で大丈夫です。
何年生で習いますか?
小学校では、主に小4算数の直方体・立方体の単元で、見取図や展開図を描く活動を扱います。教科書によって時期や単元名は異なります。この記事の 3 ステップは、学校の問題で描くときにも、家庭で箱を見ながら練習するときにも使えます。
奥行きの線は、必ず右上へ引きますか?
必ず右上とは限りません。左上へ向けて描く見取り図もあります。どちらの場合も、奥行きを表す線を同じ向き・同じ長さにそろえることが基本です。まず問題の見本や、描き始めの線の向きを確かめてください。
展開図が苦手な場合も、見取り図からですか?
見取り図(見た目のままの図)と展開図(切り開いた図)は、別の練習です。ただ、立体の全体像を頭に思い描けているほうが展開図も追いやすくなるので、迷ったら見取り図からをおすすめします。順序に迷う場合は、形を見て、写す力からで全体の道筋を確かめてみてください。
